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コロナ拡大でも五輪?橋本聖子会長は英断を!

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いまや東京五輪パラリンピックの7月開催を1日も早く中止すると日本は宣言すべきではないか。すでに日本政府と東京都、大会組織委員会は、今年3月に海外からの一般観客の受け入れ中止を決めている。観客を国内に限定し、観客数の上限も決めるというが、もはやスパッと中止を宣言した方が、ゆるんできたコロナ対策にもプラスになろう。

東京五輪パラリンピックの開催まで2ヵ月あまりとなった。にも拘わらず大会組織委員会と東京都・日本政府はいまだに中止の決断が出来ずにオロオロしている感じだ。最近の新聞通信調査会の海外5ヵ国の世論調査でも「中止または延期すべきだ」という回答が全ての国で70%を越えたという。世界の常識でも“東京五輪は中止が真っ当な判断”とみているのだ。コロナウイルスは世界中で蔓延し感染者数は、5月の連休明けの時点で1億5600万人、死者は325万人を越えた。

日本の感染者数は70.5万人、死者は1.2万人と世界に比べると極めて少ない。最も多いアメリカは3305万人(死者58.8万人)、2位のインドが2603万人(死者29万人)、3位のブラジルは1589万人(死者44万人)と桁違いに多い。またフランス、イギリス、ドイツ、ロシアなどヨーロッパでは4635万人(死者119.4万人)となっている。

しかもコロナ禍は世界的に第4波に突入しており、どの国も“オリンピックで平和の祭典”などと言っていられる状況ではなく、候補選手を選ぶことにも苦労していると聞く。各国ともコロナウイルスを収束させることが最大の政治目標であって、日本についていえば先進国の中で最もワクチン接種の比率が少なく日本のワクチン接種がいつ本格的に始まるか、が最大の関心事だろう。3月末に終了しているはずの医療従事者への接種が5月下旬の時点で2割、約3600万人の高齢者への接種も1%に達していない。

菅首相は「五輪をやらない選択肢はないし緊急事態宣言と五輪実施は関係ない」とし、「五輪の実行は人数が新型コロナに打ち勝った証しになる」とも述べてきた。しかし、五輪まで2ヵ月あまりとなった現在もなお緊急事態宣言の第4波を発している状況では菅首相の発言が空しく響くばかりだ。

大会組織委員会の会長は、森喜朗元首相が失言続きで辞任したため、副会長で7回の五輪出場を誇る橋本聖子さんが会長職を継いだ。そこへコロナ禍の大波が押し寄せ、五輪開催は単なる競技と平和の祭典ではなく世界の政治問題となってしまった。橋本さんは最も厄介な時に会長を引き受けさせられてしまったといえる。こうなった以上、橋本さんは周囲の政治的思惑に忖度することなく“国民のいのち第一”を考えて決断したと言ったらどうだろう。その選択に文句を言う人はいないと思う。本来なら菅首相が中止決断の音頭を取るべきなのだ。
【Japan in-depth 2021年5月22日】

掲載ページは以下を参照ください。

■参考情報
・『東京五輪、首相「私自身は主催者ではない」…開催の判断基準を明言せず』読売新聞 2021/06/07
 菅首相は7日の参院決算委員会で、東京五輪パラリンピックの開催について、「世界から選手が安心して参加できるようにし、国民の生命と健康を守っていく。これが開催の前提と考えている」と述べた。(中略)
 開催判断に関しては「私自身は主催者ではない」と述べるにとどめ、可否を判断する具体的な基準も明言しなかった。 

画像:flickr Dick Thomas Johnson氏(Tokyo 2020 Olympic Games: Monument of Olympic Rings

嶌が過去に記した東京で開催されるオリンピックに関するコラムは以下を参照ください。

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