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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

4日(日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:石井菜穂子氏(東京大学 グローバル・コモンズ・センター ダイレクター)

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日曜(4日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は石井菜穂子氏(東京大学 グローバル・コモンズ・センター ダイレクター)をお招きした二夜目をお届けしました。

 

世界銀行に設置された信託基金地球環境ファシリティのCEOに選ばれた理由や、東京大学が設立した持続可能な社会の実現を目指す新たな研究組織の役割や目的などについてお伺いしました。ご主人や飼われている犬とご両親の素敵なエピソードに思わず微笑んでしまいました。

音源はradikoにて日曜までお聞きいただけます。


一夜目は、財務省(旧大蔵省)の女性官僚が国際機関のトップに就いた背景や、地球環境保全のため、途上国の環境事業に資金を無償提供し、約180ヵ国が加盟する世界銀行に設置された信託基金=地球環境ファシリティのCEOに選ばれるまでについてお伺いしました。

 

余談ですが、放送前、嶌と大蔵省時代に石井氏がODAを担当されておられた時に、ウズベキスタンが突出してODAの金額が多いと指摘されていたというエピソードで盛り上がっておりました。


石井氏がダイレクターを務める東京大学 グローバル・コモンズ・センターに関する情報は以下リンクのオフィシャルサイトを参照ください。

 

また、石井氏が上梓された書籍をご紹介いたします。『政策協調の経済学』は、第12回(1990年) サントリー学芸賞・政治・経済部門受賞されております。

 

次回は、ゴルフトーナメント​プロデューサーの戸張捷氏をお迎えする予定です。

 

 



後手後手だった日本のコロナ対策 感染者少なく油断?

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 5月の連休で天気も好天続きだったのに、人々の間ではむしろ不安が蔓延した。原因はもちろん新型コロナウイルスの感染が止まらず、それどころか最近ではコロナウイルスの感染者にインドで広がる変異種の割合が高まり警戒を強めている。インド型の変異種は、イギリス型より感染力が50%強く、聴覚障害や重度の胃の不調、壊疽(えそ)につながる血栓といったコロナ患者に通常は見られない症状が出ているという。

 

 

続きは、本日配信のメールマガジンまぐまぐ」”虫の目、鳥の目、歴史の目”にてご覧ください。(初月無料)

 

 

 

器の大きさをみせて欲しい ~利便、実務の首相では淋しい~

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 無派閥の菅義偉官房長官が、第99代首相に就任したのは昨年(2020年)の9月16日だった。発足当初の内閣支持率は64%台で歴代内閣のうちでも五指に入る高支持率でスタートした。


 ところが新型コロナウイルス対策への“後手”批判が続くと、瞬くうちに支持率が低落し、実務に強い“仕事師”といわれた菅首相への期待は一気にはげ落ちた。いまや21年秋までにある衆院選自民党総裁選に向けて前途多難の声が満ちてきた。


 菅内閣の支持率は、まさに新型コロナウイルスの新規感染者数に比例して落ち続けている。内閣が発足して約2ヵ月後の20年11月12日に感染者数が1653人と8月以来の最多を更新すると支持率は57%と50%台に低下。さらに12月に入り新規感染者数が全国で初めて3000人を超えると40%台へ落ち込んだ。その後、年が明けた21年1月8日には新規感染者が7883人と過去最多を記録すると、1月の調査では一挙に支持率は33%に急落した。すでに12月の時点で不支持率が49%と支持率の40%台から逆転していたが、内閣の危険水準とされる支持率30%割れの一歩手前まで落ち込んだのである。


 この結果、菅首相が主導してきた観光旅行需要の喚起策「GO TOキャンペーン」事業の全国一斉停止が余儀なくされた。人の移動によりコロナ感染が多発するとみられ、各都道府県の観光地などで受入れを尻込みしたし、各県も他県からの人の流入に消極的意向を示し始めたからだ。


 菅首相は、就任すると「できるものから改革を進めて国民の皆さんに実感として味わっていただく」と述べ、携帯電話料金の引き下げを携帯各社に要請した。3割から4割安くできるのではないかと示唆し、各社も引き下げの検討に入っているといわれる。また、中央省庁での押印の原則廃止をうたい、河野太郎行政・規制改革相が道筋をつけている。さらに新型コロナで特例的に認められた初診からのオンライン診療を原則恒久化することや遠隔教育を含む教育のデジタル化の促進も進める。また不妊治療への助成額の拡大や保険の適用なども検討するとしている。


 こうした実利重視の政策を矢継ぎ早に打ち出しているものの、内閣支持率上昇に直結しないのはやはりコロナ不安だ。国民が最も不安に感じているコロナ対策が後手後手にまわり、ワクチン開発に遅れをとっただけでなく、ワクチン争奪の国際競争も欧米先進国に先んじられて、いまだに接種の遅れがみられることなどがある。


 また政権浮揚に期待していた東京オリンピックパラリンピックの開催を7月に控え、かつて菅首相が大臣を務め、特別な影響力を持つ総務省の幹部官僚たちが、菅首相の長男を勤めていた企業に経営上の特典を与えたのではないか、との疑問が持ち上がったり、国民に4人以上の会食をしないよう求めておきながら首相や自民党幹部は多人数の会食を行なっていたことが発覚するなど、菅首相への信頼感が急速に冷え込んで人気が落ちているのだ。


 菅首相の強みは、首相就任前に安倍首相時代の官房長官を8年近くに渡って続けたことだった。官房長官の椅子に8年近く座り、安倍首相の所に入る情報を全て握った上で各省庁を首相に代わって差配していたのだから、官僚たちからすれば、最も抵抗しにくい人物だったといえる。しかも、菅氏は官房長官時代に言うことを聞かない省庁や官僚幹部に対し人事権を使ってねじ伏せたりすることもあった。安倍内閣時代に高級官僚の人事を各省庁の大臣ではなく首相官邸が動かす仕組みを作り、官邸が各省庁にニラミを利かす機構改革を行なったからだ。菅氏は「いうことを聞かない幹部官僚を飛ばしたこともあった」と自ら述べたともいわれていたから余計に各省庁は“菅人事”を恐れたのである。各省庁の情報と人事を7年以上にわたって握り、官僚の弱みも強みも知り抜いた政治家が国のトップに立ったのだから霞が関官僚は戦々恐々となったに違いなかった。


 しかし、政治家の力によって霞が関の高級官僚をねじ伏せることが出来ても、同じ術で国民に言うことを聞かせるわけにはいかない。国民の目からみると、権力はあるかもしれないがもう一つ親しみや信頼が持てないという感覚があったのではないか。携帯料金の値下げなど国民の利益に寄与する政策から手をつけたとはいえ、国民が政治に望んでいるのは単なる利益供与ではなく、コロナなどの国民の不安を感じ取って直ちに政策に反映したり、解決への道筋と具体的スケジュールを示すことだろう。政治家としての人間性、率直さ、真面目さ、さらにいえば国民を引っ張り他国に敬意を表されるような大きな構想力、政治哲学を実践する人間としての器の大きさなども政治家の魅力として欠かせないだろう。特に先進国首脳会議(サミット)などで海外の首脳と渡りあう姿を身近でみてきた経験からいうと、国と国の付き合い、交渉などは、単に数字に表れる国力だけでなくトップの人間力の相違などが嫌でも目に付くものだ。


 菅首相の発信(力)は、官僚の書いた原稿を下敷きにしたものが多いように国民の多くは感じているのではないか。官僚作文に大きな誤りはないが、自分の言葉と抑揚、場合によっては身振り手振りなどがないと、言葉が生きて来ず、人の胸に響かせることが出来ないのではないだろうか。

TSR情報 2021年6月2日】

 

画像:首相官邸ホームページより

6日(日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:ポケットマルシェ代表・高橋博之氏 三夜目音源掲載

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日曜(6日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はポケットマルシェ代表・高橋博之氏をお招きした三夜目をお届けしました。

東日本大震災後、被災した岩手県の県議から知事選に出馬。次点で落選した後、食べ物付き情報誌を創刊した理由や、「観客」になるのではなく、新型コロナウイルスの感染拡大や今後起こりうる震災・気候変動など、誰もが難民化するリスクがある昨今を生き抜くヒントとはなにか、高橋氏の視点で語っていただいております。

一夜目は、震災後、生産者と消費者を結び農水産品を直販するアプリを運営して気づいたこと、コロナで手にした時間で人々が変わった面や、生産者と消費者の「間」を取り持つ意味、都会と地方の家族がネットでたわいもない話をする大切さなどについて伺いました。

二夜目は、ともすれば人の食事がスマホの充電と同じになりつつある今、農家や漁師とコミニュケーションしながら自分の食材を購入する時代へ、都市と地方の人の関係性を育むサイトを立ち上げた経緯や意義について伺っております。

二夜目の番組内でご紹介した「かまちゃん農園」さまの一寸そら豆の画像をご紹介します。心温まる直筆のお手紙を添えて頂きました。

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ポケットマルシェ様のサイトは以下リンクを参照ください。旬の食材が満載です。

また、先週わが家にはポケマルさんでハナウタカジツさんに頼んだ桃が届き、食卓が潤いました。早速、桃の上にブラータ(チーズ)を置き、気に入っている関西の山椒をふんだんにかけ、オリーブオイルを適量かけ堪能しました。

季節ごとに様々な食材で旬な食材を堪能できるのが魅力です!

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高橋氏が上梓された書籍をご紹介いたしますので、合わせてぜひご覧ください。

 

次週は、ももいろクローバーZのマネージャー兼プロデューサーの川上アキラ氏をお迎えする予定です。

コロナ拡大でも五輪?橋本聖子会長は英断を!

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いまや東京五輪パラリンピックの7月開催を1日も早く中止すると日本は宣言すべきではないか。すでに日本政府と東京都、大会組織委員会は、今年3月に海外からの一般観客の受け入れ中止を決めている。観客を国内に限定し、観客数の上限も決めるというが、もはやスパッと中止を宣言した方が、ゆるんできたコロナ対策にもプラスになろう。

東京五輪パラリンピックの開催まで2ヵ月あまりとなった。にも拘わらず大会組織委員会と東京都・日本政府はいまだに中止の決断が出来ずにオロオロしている感じだ。最近の新聞通信調査会の海外5ヵ国の世論調査でも「中止または延期すべきだ」という回答が全ての国で70%を越えたという。世界の常識でも“東京五輪は中止が真っ当な判断”とみているのだ。コロナウイルスは世界中で蔓延し感染者数は、5月の連休明けの時点で1億5600万人、死者は325万人を越えた。

日本の感染者数は70.5万人、死者は1.2万人と世界に比べると極めて少ない。最も多いアメリカは3305万人(死者58.8万人)、2位のインドが2603万人(死者29万人)、3位のブラジルは1589万人(死者44万人)と桁違いに多い。またフランス、イギリス、ドイツ、ロシアなどヨーロッパでは4635万人(死者119.4万人)となっている。

しかもコロナ禍は世界的に第4波に突入しており、どの国も“オリンピックで平和の祭典”などと言っていられる状況ではなく、候補選手を選ぶことにも苦労していると聞く。各国ともコロナウイルスを収束させることが最大の政治目標であって、日本についていえば先進国の中で最もワクチン接種の比率が少なく日本のワクチン接種がいつ本格的に始まるか、が最大の関心事だろう。3月末に終了しているはずの医療従事者への接種が5月下旬の時点で2割、約3600万人の高齢者への接種も1%に達していない。

菅首相は「五輪をやらない選択肢はないし緊急事態宣言と五輪実施は関係ない」とし、「五輪の実行は人数が新型コロナに打ち勝った証しになる」とも述べてきた。しかし、五輪まで2ヵ月あまりとなった現在もなお緊急事態宣言の第4波を発している状況では菅首相の発言が空しく響くばかりだ。

大会組織委員会の会長は、森喜朗元首相が失言続きで辞任したため、副会長で7回の五輪出場を誇る橋本聖子さんが会長職を継いだ。そこへコロナ禍の大波が押し寄せ、五輪開催は単なる競技と平和の祭典ではなく世界の政治問題となってしまった。橋本さんは最も厄介な時に会長を引き受けさせられてしまったといえる。こうなった以上、橋本さんは周囲の政治的思惑に忖度することなく“国民のいのち第一”を考えて決断したと言ったらどうだろう。その選択に文句を言う人はいないと思う。本来なら菅首相が中止決断の音頭を取るべきなのだ。
【Japan in-depth 2021年5月22日】

掲載ページは以下を参照ください。

■参考情報
・『東京五輪、首相「私自身は主催者ではない」…開催の判断基準を明言せず』読売新聞 2021/06/07
 菅首相は7日の参院決算委員会で、東京五輪パラリンピックの開催について、「世界から選手が安心して参加できるようにし、国民の生命と健康を守っていく。これが開催の前提と考えている」と述べた。(中略)
 開催判断に関しては「私自身は主催者ではない」と述べるにとどめ、可否を判断する具体的な基準も明言しなかった。 

画像:flickr Dick Thomas Johnson氏(Tokyo 2020 Olympic Games: Monument of Olympic Rings

嶌が過去に記した東京で開催されるオリンピックに関するコラムは以下を参照ください。

日曜(30日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:ポケットマルシェ代表・高橋博之氏 二夜目音源掲載・6日 三夜目

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日曜(30日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はポケットマルシェ代表・高橋博之氏をお招きした二夜目をお届けしました。

ともすれば人の食事がスマホの充電と同じになりつつある今、農家や漁師とコミニュケーションしながら自分の食材を購入する時代へ、都市と地方の人の関係性を育むサイトを立ち上げた経緯や意義について伺いました。音源は日曜までお聞きいただけます。

番組内でご紹介した「かまちゃん農園」さまの一寸そら豆の画像をご紹介します。心温まる直筆のお手紙を添えて頂きました。

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ポケットマルシェ様のサイトは以下リンクを参照ください。旬の食材が満載です。


日曜(6日)は高橋氏をお迎えする三夜目をお届けします。
東日本大震災後、被災した岩手県の県議から知事選に出馬。次点で落選した後、食べ物付き情報誌を創刊した理由や、「観客」になるのではなく、新型コロナウイルスの感染拡大や今後起こりうる震災・気候変動など、誰もが難民化するリスクがある昨今を生き抜くヒントとはなにか、高橋氏の視点で語っていただいております。ぜひお聞きください。

一夜目は、震災後、生産者と消費者を結び農水産品を直販するアプリを運営して気づいたこと、コロナで手にした時間で人々が変わった面や、生産者と消費者の「間」を取り持つ意味、都会と地方の家族がネットでたわいもない話をする大切さなどについて伺いました。

 

高橋氏が上梓された書籍をご紹介いたしますので、合わせてぜひご覧ください。

日曜(16日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:料理研究家でNPO法人「ビッグイシュー基金」共同代表 枝元なほみ氏 二夜目音源掲載

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日曜(16日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は料理研究家NPO法人ビッグイシュー基金」共同代表 枝元なほみ氏をお招きした二夜目をお届けしました。音源がradikoに掲載され日曜までお聞きいただけます。

新型コロナウイルス禍で生活困窮者が増える中「ビッグイシュー日本」が始めた「夜のパン屋さん」の活動に関わり事業を企画した目的や、雑誌「ビッグイシュー日本版」に連載している名物コーナー「ホームレス人生相談」について伺う予定です。



前回は父は会社員、母は小学校の教員の家庭に育ち、子供の頃は「家族内突然変異」と云われ、学生運動の最後のバリケード封鎖を経験し、卒業間際に劇団で役者兼賄いを務めるかたわら、料理の世界に足を踏み入れ、食や貧困問題にまで関心を持つようになった経緯についてお伺いしました。

枝元氏のレシピ本や共同代表を務められている「ビックイシュー」は以下リンクを参照ください。

最新号のビックイシューは、以前ゲストにお越しいただいた田中泯氏と柳楽優弥氏のスペシャルインタビューが掲載されております。合わせてご覧ください。


次回は、ポケットマルシェ代表・高橋博之氏をお迎えする予定です。 

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