時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

都市部で拡大ウーバーイーツ

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今年のゴールデンウィークは、私達夫婦と娘夫婦、4歳の孫娘と5人で連れ立って都心のホテルに2泊し、のんびりと過ごした。10連休で家に閉じ篭っているのは能がないし、海外や地方の旅行は人がいっぱいで疲れる気持ちが先立ち、結局都内のホテルで休養することにしたのである。幸いポカポカ陽気で過ごしやすく、小さなテントを持って増上寺隣の芝公園に出かけた。公園は家族連れや若い男女たちでいっぱいだった。

昼時になって食事をどうするか、となった時、娘夫婦が、初めてだがUberEATS(ウーバーイーツ)を頼んでみようということになった。これは、登録したアプリからサンドイッチや飲み物、サラダなど数種類を注文すると30分以内に届けてくれるというものだった。

ただ、その公園では芝生のあちこちにテントが張られ、ビニールシートに車座になったりとグループがいっぱいで、おそらく数百人はいただろう。そんな大勢の人出の中で、はたして食事を届けることができるのか、と懸念した。また、一体この広い公園でどうやって受け渡しを行なうのだろうという興味も沸いた。どうやらGPSを利用した地図で大体の場所を探り当て、近くに来て探し出せない時は電話で連絡してくるようだった。15分もすると配達員が店を出て公園に向かっている道筋が携帯上の地図に反映され、動いている状態も手に取るようにわかった。

問題はこの公園の大勢の人の中からどうやって注文主を見つけ出すかという点だ。相手は自転車に乗り、黒いTシャツを着ているという情報だったので公園近くの道路を見ていると何台目かにそれらしい人物が現れた。私達がそばに行くと、注文品を持った若者が本当に30分以内に注文通りの品を10品ほど届けてくれた。Uber(ウーバー)はタクシーを呼ぶ時によく使うと聞いていたが、この時はウーバーイーツの便利さをよく感じ取れた。

支払いは距離に応じた運び賃400円ほどと品物代がカード決済される仕組みで、現金の受け渡しが無いのも特色だった。

ウーバーは10年前にアメリカのサンフランシスコに設立された会社で正式には「ウーバー・テクノロジーズInc.」といい、2018年の売上高は113億ドル(約1兆3000億円)だ。トヨタ自動車トヨタ)と自動車部品大手のデンソーが6億6700万ドル(約750億円)、孫正義社長率いるソフトバンク・ビジョン・ファンドが3億3300万ドル(約370億円)、計10億ドル(約1100億円)を出資し、自動運転技術を活用したライドシェアリング(相乗りサービス)の開発を推進すると4月19日に発表した。さらに、トヨタは共同開発の関連費用として今後3年間で3億ドル(約340億円)を追加する方針も明らかにしている。

10日、ニューヨーク証券取引所に上場したが、初値は42ドルで取引初日の終値は41.57ドル。新規株式公開(IPO)価格の45ドルに比べて7.6%安となり、時価総額は前回、私募方式で資金調達した際の評価額より低下した。終値で換算した時価総額は697億ドル(7兆6600億円)となり、昨年8月にトヨタから5億ドル(約560億円)の出資を受けた際の評価額(約760億ドル)より下落した。

タクシー会社やウーバーに運転手として登録した一般人が自分の空き時間と車を使って乗客を運ぶ仕組みで成り立っているが、運転手のモラル教育などが問題視されている。2017年には5700万人分の顧客や運転手の情報漏洩が発覚したことや創業者でCEOのトラビス・カラニック氏が株主からの圧力の高まりにより辞任を余儀なくされたことなどが話題となった。ウーバーはきちんと使われる規制があれば便利だが、一歩間違えると配達員に対し雇い主(ウーバー)が責任を取らないのでリスクもありそうだ。今後、利用者に便利で安心して使われるようになるためには法的規制などが必要になってこよう。

現在、ウーバーは世界600以上の都市で利用され、月間7500万人、1日1500万回の乗車の利用(2018年7月現在)があるという。また乗車地と行き先をアプリに登録すれば、おおよその運賃などが事前にわかるようにもなっている。反対するタクシー業者も多いと聞くが、欧米では新しいビジネス、アイディアが次々と出てくる世の中になってきた。
【Japan In-depth 2019/5/18】

画像:ウーバーイーツサイトキャプチャー

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:松島トモ子氏(歌手・女優)音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)のゲストに歌手で女優の松島トモ子氏をお迎えした音源を番組サイトに掲載しました。

1986年テレビ番組の撮影のため訪れていたケニアで、10日余りの間にライオンとヒョウに襲われた時の生々しいエピソードについて改めてお伺いしました。

次週も引き続き松島氏をゲストにお招きし、子どもの頃に出演した映画ニュースで阪東妻三郎氏にスカウトされて芸能界デビュー。童謡歌手やグラビアモデルとして活躍後、アメリカに留学したことが転機となった人生観についてお伺いする予定です。

松島氏のCDや上梓された書籍の一部をご紹介いたしますので合わせて参照下さい。 

日曜(19日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:松島トモ子氏(歌手・女優)

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日曜(19日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに歌手で女優の松島トモ子氏をお迎えいたします。

1986年テレビ番組の撮影のため訪れていたケニアで、10日余りの間にライオンとヒョウに襲われた時の生々しいエピソードについて改めてお伺いする予定です。

松島氏が上梓された書籍やCDの一部をご紹介いたしますので合わせて参照下さい。 

新紙幣発行より賃上げが必要

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新紙幣が2024年度上半期に一新するという。千円、五千円、一万円の紙幣(日本銀行券)で2004以来20年ぶりのこととなる。最近、世界ではキャッシュレス化が進み、中国などでは日常の買物やタクシーの乗車支払いなどもスマホやカードで行なうようになってきたと聞くが、私は紙幣の発行に大賛成だ。

むろんキャッシュレスを進めることに反対するわけではない、現金払いのため、お札や小銭を常に用意しておかなければならないことは手間のかかることだ。それよりスマホで支払いできるシステムがあったり、Suicaのようにカードにおカネをチャージしておけばカードを機械に触れるだけで支払いが出来、いちいち紙幣やコインの出し入れの手間が省け、数え間違いも無くなって便利になることだろう。だからキャッシュレス化のシステムを残すことは便利で、現金使用と併用すればよいと思う。

しかし現金には現金の“味”がある。私たちはこれまで聖徳太子福澤諭吉のお札(一万円)、樋口一葉(五千円札)、野口英世(千円札)などになじんできた。24年からは一万円札が渋沢栄一、五千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎に変わり、裏側の図案は東京駅丸の内駅舎、五千円が藤の花、千円が北斎の代表作・富嶽三十六景の神奈川沖浪裏になるという。北斎の図柄などは楽しみだ。

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日本は世界でも現金主義が根強く、国内総生産GDP)に占める現金の存在感は、他国に比べ突出しているらしい。16年のGDPで比べるとアメリカの8%、韓国の6%、最もキャッシュレス化が進んでいるスウェーデンはわずか1.4%で、対する日本は20%に達し、現在の現金流通量は2008年末の86兆円から115兆円へと10年間で3割も増えている。

一万円札の流通枚数は102億枚、千円札は44億枚に上る。逆にクレジットカードや電子マネーなど現金を使わないキャッシュレス決済の比率は20%に留まっているが、25年には40%に高めたいとしている。中国の現金流通残高は今年2月末で約131兆円と1年前に比べ2%減少しているという。

図柄の選考基準としては、偽造防止に必要な精密な写真が残っており、国民に知られ、業績が広く認められている明治以降の文化人としたようで、政治家は時代によって評価が変わりかねないため避けたといわれる。24年度発行となったのは印刷開始まで2年半かかり、自動販売機などの機械を入れ替える準備に2年半と計5年の期間が必要なためと説明している。新紙幣の発行は印刷機械関連企業にとって特需になるが、その効果は全体で1.3兆円程度、経済成長率を0.1%ほど押し上げるぐらいで、それほど大きなものにはならない。また五百円硬貨も素材が変更され2色構造となる。

むろん現在のお札や五百円硬貨も引き続き使えるので詐欺行為などの注意は厳しく呼びかけてゆくだろう。

元号が令和になる時に発表したが、実際の新紙幣の発行は5年後なので、令和との相乗効果はほとんどなさそうだ。ただ安倍首相にとっては、まだパッとした業績が見当たらないだけに新紙幣発行時の首相として名が残るかもしれない。本当は拉致、近隣諸国との関係改善、実質賃金の上昇などで名を残す業績をあげて欲しいのだが・・・
【Japan In-depth 2019年4月29日】

画像は日銀プレスリリースより

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:西和彦氏(東京大学IoTメディアラボラトリーディレクター・須磨学園学園長)二夜目音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに東京大学IoTメディアラボラトリーディレクターで須磨学園学園長の西和彦氏をお迎えする二夜目の音源が番組サイトに掲載されました。来週水曜正午までお聞きいただけます。

自分で起業した出版社の経営から2001年に退いたときの経緯や、教育者に転身して東大大学院でIoTの研究をけん引する今、未来の展望などにつきお伺いいたしました。これまで話されたことのないアスキー社退任時の貴重なお話も頂いております。

前回の学生時代に起業し出版社を設立、パソコン黎明期の1970年代後半から90年代、ITビジネスの中心にいた頃のエピソードや、創業まもないマイクロソフトビル・ゲイツ氏と意気投合し、日本向けに展開する事業を始めた頃のお話しなどをお伺いした放送音源は番組サイトにて今週水曜正午までお聞きいただけます。

西氏が自費出版されたご自分の履歴書

西氏が自費出版されたご自分の履歴書

西氏が「株式会社アスキー」を立ち上げた早稲田大学3回生のとき。西氏(左)、ビル・ゲイツ氏(中央)、ポール・アレン氏(右)

西氏が「株式会社アスキー」を立ち上げた早稲田大学3回生のとき。西氏(左)、ビル・ゲイツ氏(中央)、ポール・アレン氏(右)

西氏が上梓された書籍の一部をご紹介いたします。

西氏のオフィシャルサイトにて様々な情報を発信されておりますので、合わせてご紹介いたします。

西氏が以前ネット情報に関して「ネットの情報をうのみにするな」という記事も合わせて共有いたします。

次週は、女優の松島トモ子氏をお迎えする予定です。

一つになれない欧州 ―独・仏の力の衰え― 

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 欧州連合EU)の議会選挙が5月下旬(23日~26日)に各加盟国で行なわれ、7月2日に新議会が招集される。5年に1度、各加盟国の直接選挙(比例代表制)で行なわれることになっており、有権者は約4億人と民主国家の中では世界第二位の規模だ。欧州議会は加盟国政府を代表する閣僚理事会と立法機関から成り立ち欧州の予算や人事などを決めることになっている。定数は751議席だ。

続きは、本日配信のメールマガジンまぐまぐ」”虫の目、鳥の目、歴史の目”にてご覧ください。(初月無料)

続きに掲載されている本記事の見出し
EU各国で右派、大衆迎合派が台頭
■70年代以降の東欧民主化は沈滞
■グローバル主義で二極化か
■独・仏の衰退と英の離脱でバラバラに
■中国、ロシアが接近

トップ画像:写真AC チョコラテさん作成画像 

【5月14日】ウズベキスタンの魅力に触れてみよう 親日の象徴「ナボイ劇場」や20世紀最大の環境破壊「アラル海」などの話が聞ける無料イベントを開催

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スタッフからのお知らせです。

嶌が会長を務める日本ウズベキスタン協会では、協会設立20周年を記念したウズベキスタン旅行を9月に計画し、現在参加者を募集しています。これまで培ってきたウズベキスタンと築き上げてきた友好関係により、一般のツアーではなかなか行けない「アラル海」に専門の研究者が解説つきで訪問したり、なかなか出来ない現地の方々との交流などを盛り込んだウズベキスタン協会ならではのツアーです。

今回、旅行に先駆けて旅行説明会を兼ねたウズベキスタンの魅力を伝えるイベントを5月14日に開催する運びとなりました。これまでの協会の活動を含め、ウズベキスタンの魅力が詰まったイベントとなっています。

今回、旅行の参加を検討されている方のみならず、中央アジアウズベキスタンに興味をお持ちの方でぜひ話を聞いてみたいという方のご参加も歓迎しています。参加費無料となっていますので、多くの方のご参加をお待ちしております

近年、ウズベキスタンはヨーロッパのみならず日本からの観光客が増え、日本ではさまざまなツアーが組まれるようになりました。世界遺産も多く青の都「サマルカンド」は訪れた人々を魅了しています。

国際交流基金主催「中央アジア文化交流ミッション」サマルカンド訪問

国際交流基金主催「中央アジア文化交流ミッション」サマルカンド訪問

6月14日に公開の黒沢清監督、前田敦子さん主演の映画「旅のおわり世界のはじまり」は全編ウズベキスタンで撮影され、前田さんは先日映画公開を記念して行なわれたウズベキスタン観光大使就任イベントにて想い出に残っている場所としてサマルカンドを上げられ、以下のようにお話されていました。

想い出に残っている場所は撮影の休日に女性7人くらいで訪れたサマルカンドで、『青と白の世界が広がりどこで写真を撮ってもインスタ映えするようなところで、みんなで写真を取り合ったりして楽しかった。アクセサリーもすごく細工が細かく細工されているのに安くて、「スザニ」というかわいい、想い出が込められた布や、シルクも沢山あり、スキがあふれている。』


嶌は2015年に親日の象徴「ナボイ劇場」の建設秘話をノンフィクション「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」(角川書店)として上梓しました。本書はさまざまなメディアで取り上げられ、その後本書を参考としてこの事実を伝える再現ドラマがいくつか放送されるなど、近年この秘話が多くの日本人に知られるようになってきました。

本書は日本ウズベキスタン協会設立当初から実際にナボイ劇場建設に携わった方々に実際にお話を伺い、その一部を史実として記したものです。今回のイベントでは、ナボイ劇場建設秘話に関するお話を含めウズベキスタンの魅力を詰め込んだお話をします。

書籍に関する詳細は以下サイトを参照下さい。

本イベントに参加ご希望の方は、今回の旅行の主催の株式会社阪急阪神ビジネストラベル様宛にお申込みくださいますようお願いいたします。

参加された方には特別にウズベキスタンのグッズをプレゼントいたしますので、多くの方のご参加をお待ちしています

日時:5月14日(火)16:00ー18:00
場所:阪急交通社 新橋・KHD東京ビル2階 アトランティック
   東京都港区新橋3-3-9 

申し込み先:株式会社阪急阪神ビジネストラベル  田辺 正徳様宛て
      TEL:03-6745-7387   FAX:03-6745-7386  
      E-mail:m.tanabe@hhbt.co.jp

ウズベキスタン協会20周年記念旅行の概要

日程:2019年9月6日(金)~13日(金)
訪問地:タシケント、ヌクス、アラル海、ヒヴァ、イチャンカラ遺跡等
費用:228,000円~245,000円 (2名1室ご利用の場合の1名様あたり)
   ※航空券/ホテル6泊/専用車/朝食6回、昼食6回、ディナー7回を含みます
   ※燃油サーチャージ、空港使用税別
募集人数:30名(先着)一次申込受付期限は2019年7月5日(金)

詳細な概要につきましては以下を参照下さい。

6月14日公開の映画「旅のおわり世界のはじまり」については以下を参照下さい。

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日本人の覚悟

日本人の覚悟―成熟経済を超える

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日本の「世界商品」力

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首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
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嶌信彦の一筆入魂

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【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

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(講談社)
【著】嶌 信彦
       

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