時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

コラム(財界)

チキンレースの中の日本

世界中がチキンゲームの様相を呈しはじめてきた。チキンゲームは対立する双方が我を張って相手が降りるまで戦い脅し続ける戦法だ。互いに面子にこだわって降りないと悲劇的な戦争になって大きな傷を残す。世界中の各国がチキンゲームを始め、全体の調停者が…

行政は口をはさみすぎる

最近、行政が企業や個人の活動に口をはさみすぎるのではないか。 典型的な例は官製春闘だ。給与や一時金は、各企業が業績をみながら従業員のやる気を引き出すために考えて出す極めて重要な個別企業戦略である。ところが、ここ2、3年、政権側は業界や、リーデ…

理念死守に踏みとどまるEU

EU(欧州連合)の原点となったローマ条約の制定から60年が経った。3月末、EU離脱を決めたイギリスを除く27加盟国がローマに集結。結束を誓い「異なる速度と強さで行動を共にする」との宣言を採択した。統合速度を多様化させる方針は、一見すると欧州の格差に…

ポピュリズムと自国第一

"自国第一"主義が世界を揺るがし始めている。トランプ・アメリカ大統領の"アメリカ・ファースト"の思想と政策が、EU各国をはじめ世界に伝染し始めているからだ。グローバル化、IT化などが進む中で各国とも中間層の二極化、没落が目立ち社会に不満が高まっ…

落とす現金1日1000万円

2016年に都内で落し物として届けられた現金は、何と約36億7000万円あったという。これはバブル期の1990年の35億円を超え過去最高で、7年連続の増加記録。1日に約1000万円が落とされている計算だ。 落し物は3カ月間保管されるが、持ち主が現われなければ拾…

大統領令の歯止め

トランプ大統領の暴走的「大統領令」に少しずつ歯止めがかかってきた。それはトランプ大統領の変化というより、米社会全体が良識を取り戻す落ち着きが出てきたからだろう。 最も大きな歯止め役となったのは司法の動きだ。中東・アフリカなどイスラム圏7カ国…

どうなっちゃった韓国

一体、韓国はどうなってしまったのか。一時は日の出の勢いで、社会も経済も先進国に肩を並べる地位にあったのにここ2、3年で国は混乱を極め、かつての輝きは全くない。 最も懸念されているのは政界だ。朴槿恵大統領の生い立ちは悲劇に包まれている。学生時代…

日本にも厳しい”米国第一”

1981年3月、大統領に就任して間もないレーガン大統領が精神的におかしかった偏執的な男に狙撃された。銃弾は肺の奥深くに達し、緊急手術によって命を取り止めた。 レーガンは大統領当選後の評判はもうひとつだった。映画俳優上がりで、それも二流俳優。そこ…

影響力は世界37位  安倍首相の存在感

安倍外交は、本当に成果をあげているのだろうか。たしかに歴代首相に比べ安倍首相は外交に熱心である。 この4年間で訪問国は100カ国を超え、外国首脳との会談は200回に達するという。アメリカのトランプ次期大統領とは、世界で最初に会談し、ロシアのプーチ…

”安倍外交” 曲がり角か 正念場のプーチン会談

旧ソ連が崩壊直前の1990年1月、私は当時の急進改革派のリーダーだったエリツィン氏の来日時、日本の学者二人を交えて2回、約6時間にわたり懇談した。ソ連が経済発展するヒントを知りたいようだった。同氏は、その後の旧ソ連崩壊後の91年に初代大統領(91~9…

アメリカ理念の没落か

「トランプはポピュリズムで権力を握ったが、その後の統治手法はポピュリズムではない。今後、上院も下院も最高裁判所も保守一色で染まるだろう。しかしアメリカ社会の分断にも深い傷跡を残した。新大統領選後1週間以上も反トランプの大衆行動が各地でおこ…

経済指標に踊らぬ生活

日本人はケチなのか、心配性が強すぎるのか、それとも政府の発表する数字や日経新聞の論調に乗りたくないのか。 10月28日付の日経新聞夕刊の一面トップに、9月の経済指標として「求人倍率25年ぶりに高水準」「失業率3.0%に低下」「消費者物価0.5%下落」など…

レガシーはハードよりハートで!!

2020年の東京五輪についてまわる言葉は「レガシー(legacy)」だ。1964年のオリンピックはいくつかのレガシー(遺産)を残し、今日も語り継がれているものが少なくない。新幹線、首都高速道路、国立競技場など目に見えるハードのものが多く、当時は高度成長…

世界は女性トップの時代へ?

このところ、新聞やTVニュースのトップに出てくるのは小池百合子都知事だ。2020年の東京オリンピックの予算見直し、築地魚市場の豊洲移転問題、知事給与の半額カット提起、リオ五輪から東京五輪への引き継ぎ式典などニュースに事欠かないからだ。 対応…

リベラル派の重鎮逝く 加藤紘一氏死去

元衆議院議員の加藤紘一さんが肺炎のため亡くなった。77歳。ここ数年は体調を崩していたが、会合では、中国訪問の感想や政局の見通しなどもよく口にしていた。山形県鶴岡市出身だったが、学校は都立日比谷高校、東大出身で都会っ子と田舎風の雰囲気を合わせ…

国民、企業心理に心づかいを

政府・日銀の財政・金融政策は、本当に正しい道を突き進んでいるのだろうか。黒田日銀総裁が登場して大胆な金融緩和策を実行したため、一時は1ドル=80円割れしていた円高は、あっという間に円安に転じた。その後も黒田日銀は大幅な金融緩和を続行、ついに…

"風車のお百合"の次の手は?

”風車のお百合”が、逆風を活用して都知事選で圧勝した。「風車は逆風が吹くとよく回るんですよ」と、選挙後にニッコリ。ただ、投票日間近になると自民党の組織力がフル回転していたから、内心は落ち着かなかっただろう。 それにしても小池氏の戦いぶりは見事…

恥ずかしい政党力

参院選はさっぱり燃えなかったが、都知事選はなかなかエキサイティングだ。火付け役は小池百合子衆院議員の突然の出馬宣言だった。 テレビ東京の番組で人気キャスターの座を突然捨て、細川護熙氏が立ち上げた日本新党の国会議員へ転進。その後、小沢一郎氏の…

よみがえってきた ”ばんえい競馬”

一時は消滅かといわれた”ばんえい競馬”が再び人気を盛り返しているという。妻と娘も北海道へ行くとしょっちゅう立ち寄るようだ。 ばんえい競馬は、カッコヨク走るサラブレッドの競馬レースとはまったく違い、足の太いずんぐりした巨大な農耕馬が700キロ近い…

温暖化対策で航空運賃も?

5月に早くも真夏日を記録するなど日本の気候はますます異常になっている。ムシムシした梅雨の季節の後、今年はどんな夏を迎えるのだろうか。 地球温暖化問題は日本だけの問題ではない。ことしの伊勢志摩サミットでは、主要7カ国(G7)が国際的な地球温暖化対…

離脱すれば一流半国に

イギリスはEU離脱を選択するのだろうか──その国民投票が6月23日に行われる。常識的には離脱はないし、私も「離脱すべきでない」と考える。 産業界や金融界は当然ながらEU残留を支持。最近ロンドン市長に当選したイスラム教徒のサディク・カーン氏も残留派だ…

サミットは実質崩壊へ  安倍訪欧も実らず

安倍首相は5月26~27日の伊勢志摩サミット根回しのためヨーロッパを駆け足でまわった。本当に海外首脳と会うのが好きになったようで、もう趣味といってよいほどだ。日本の首脳はこれまで引っ込み思案だったので足腰軽く1週間弱で数カ国をまわって顔をつきあ…

問われているのは法令違反より〝徳〟

パナマ文書をめぐって各国首脳や大企業、富豪たちがあわてふためいている。日本人や日本の企業名はまだ出てきていないが、租税回避地はパナマだけではない。 たとえばケイマン諸島なども有名だし、ヨーロッパにもタックスヘイブン(租税回避)的な機能、機構…

手玉にとられた? シャープ

3月末、シャープが台湾の鴻海精密工業に正式に買収されるとわかったとき、救済にかかわってきた日本側関係者は肩を落とした。シャープが鴻海に手玉をとられるようにして買いたたかれる結果となったからだ。「鴻海は全く信用できない」と怨嗟の声があがったも…

新潟地震に遭遇して感じた「人と国土」

スタッフです。この度の熊本県を中心とする地震により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げるとともに、皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 19日のTBSラジオ「森本…

日本生かせ アイデアはある

「保育園落ちた。日本死ね」「1億総活躍社会じゃねーのかよ」 春の新学期を前に公立の保育園に入れない乳幼児がことしも多い。「子育て支援」「日本人1億人が総活躍できる社会に…」などと政府のスローガンは華々しいが、現実は合格できても家から遠く送迎が…

カタストロフィに備えよ

「メキシコからの移民流入を防ぐため、国境に壁をつくる」──。共和党の大統領候補の最有力者・ドナルド・トランプ氏は激しい主張で有名だが、右の発言はその象徴的なものだろう。ベルリンの壁を想起させることを声高に叫んで、注目を引き人気を高めてゆくア…

都立戸山高校卒、 古稀の人々の戦後70年論

先日、都立戸山高校卒業の友人から『私たちの〝戦争〟体験』と題する約160ページの小冊子をもらった。1962年に高校を卒業し、1943、44年に生まれた世代だから、断片的体験記憶だけで、ほとんどは敗戦直後の荒廃した日本の光景と幼児時代の思い出や親、兄姉な…

面妖な閣僚らの疑惑

千葉県の建設会社が甘利明前経済再生担当相の秘書、事務所に〝口利き〟を頼んだとする事件は〝いまどきこんなことをまだ行っていたのか〟と、あらためて日本の政治土壌のひどさを国民に印象づけた。 建設会社は「独立行政法人都市再生機構(UR)」と道路建設…

「中台関係は現状維持」で存在感も

台湾の総統選で最大野党・民進党の蔡英文主席(59)が、ほぼダブルスコアで8年間政権を握っていた朱立倫・国民党主席(54)を敗り政権を取り戻した。台湾史上、初の女性宰相の誕生だ。ふっくらとした容ぼうで、その笑顔は親しみを感じさせるおばさんだ。台北…

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日本人の覚悟

日本人の覚悟―成熟経済を超える

(実業之日本社)
【著】嶌 信彦


日本の「世界商品」力

日本の『世界商品』力

(集英社新書)
【著】嶌 信彦

     
首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
【著】嶌 信彦


 
嶌信彦の一筆入魂

嶌信彦の一筆入魂

(財界研究所)
【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

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(講談社)
【著】嶌 信彦
       

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