時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

コラム(財界)

アジア太平洋を巡るグレートゲームの開始

2016年の世界と日本、あるいは国際情勢と日本、天変地異などがどう動くか──何とも読み解き難い年だ。 まずアメリカと中国の太平洋を巡る陣取り合戦。初手は日本がアメリカとうまくTPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意をまとめ上げ、中国が根回しをしてい…

ゴキブリから守ってくれるアースの和風美人研究者

アース製薬の研究所で働く有吉立さんは、ゆったりと物静かにしゃべる30歳代の美人だ。職場は兵庫県赤穂市の生物研究棟。この棟ではハエや蚊、カメムシ、ゴキブリなど何と100種類の虫を飼育している。殺虫剤などの薬を作るための飼育棟6人の1人だ。 なかでも…

爆買いが変える通貨や規制

中国の存在感がまた一段と高まりそうだ。中国の通貨である「元」が、国際主要通貨として認められるためだ。国際通貨基金(IMF)が、加盟国に配る「特別引出し権(SDR)」の構成通貨に人民元を採用、その構成比率は日・英を抜いて第三位となる。 2015年の主要…

尋常でないフランスの怒り

フランスの怒りようがすさまじい。パリ同時多発テロに襲われたフランスは11月19日、「イスラム国」との戦いに各国が立ち上がる決意を示すよう国連安保理の理事会に決議案を提出。さらにフランス国民議会(下院)は同日、非常事態を3カ月延長する法案を可決し…

親日イスラム国カトウタキ

「加藤タキ」が中央アジア5カ国名を覚えるコツだという。カはカザフスタン、トはトルクメニスタン、ウはウズベキスタン、タはタジキスタン、キはキルギス。 その中央アジア5カ国を安倍首相夫妻と関係企業、団体など約50組織が初めて訪問し、「日本もようやく…

信念と地道な努力の二人

祖母は「智、一番大事なことは人のためになること。これは心がけなさいよと、繰り返し言われ続けました」。 ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智さん(80)は決して世にいうエリートではない。地方の山梨大学学芸学部を卒業後は都立墨田工業高校の定時制の…

TPP決着で勝つ道探れ

TPP(環太平洋経済連携協定)がやっと大筋合意に達した。これにより国内総生産(GDP)で世界の4割近くを占める大経済圏がアジア太平洋地域に生まれる可能性ができた。中国もTPPとは別に東南アジア、日本、韓国などを含む経済協定をもくろんでいるが、TPPはギ…

ラグビー対南ア戦の興奮

久しぶりに興奮し涙した。ラグビー・ワールドカップ初戦の日本対南アフリカ戦だ。南アフリカは世界ランク3位、日本は12位。その体格の相違と精悍な面魂に「これはやはり勝てないな」と思ってしまう。 スタートは五郎丸のキックでリードして始まった。だがす…

地に落ちた東京五輪評判

2020年・東京オリンピックのイメージが日毎に低落している。新国立競技場建設が白紙に戻っただけでなく、オリンピックのエンブレム(紋章)デザインも盗作疑惑で、再公募することになった。「オモテナシ」のキーワードでお祭り騒ぎとなった東京五輪の招致が…

アスリート・ファーストのいかがわしさ

アスリート・ファースト──なかなか耳障りの良い言葉だ。新国立競技場建設を巡る巨額の予算オーバーでゴタゴタ騒ぎとなり、建設プランは白紙撤回となった。もう一度最初からやり直すきっかけの一つとなったキーワードが、一部のスポーツ選手が語ったとされる…

黄信号灯った安倍政権?

”安倍一極”といわれてきた政局に変動の兆しが見え隠れしてきた。そもそもは、11本の安保法制をひとまとめにして通そうとした手軽な発想がいけなかったのだろう。ふつうなら1本ずつ通すにも2、3ヵ月かかるといわれた国の基本、しかも憲法9条を拡大解釈し、法…

安倍政局は転換点に? 声なき声が支持率下げる

「国会周辺は騒がしいが、銀座や野球場、映画館は満員だ。私には声なき声が聞こえる」──1960年春、国会周辺は連日、学生や労働組合による数十万人のデモ隊が国会をとり囲み〝安保反対〟のデモが繰り返された。その頃、安倍首相の祖父だった故岸信介首相が、…

物価目標2%は もう不必要!?

日本の消費者物価(CPI)を2%まで上昇させる──この目標は、いまもはたして正しいのだろうか。黒田東彦氏が日銀総裁に就任(2013年3月)すると、低金利・ゼロ金利、金融の巨額な量的緩和政策を実施した。この結果、一時、1㌦70円台まで円高に推移していた円…

強くなってきた日本ラグビー  エディー監督の言葉の魔術

ラグビーが面白くなってきた。世界的名将といわれるエディー・ジョーンズ氏が日本代表の監督に就任してから日本ラグビーが急成長しているからだ。まだなでしこジャパン、男子サッカーの方が注目されているが、2019年に日本で開催されるワールドカップで、世…

影薄いサミット メンバー替え改革も

いつの間にかサミットの季節がやってきて、いつの間にか終わっていた。90年代まではサミットといえば、世界最大の政治イベントだった。開催前には各国首脳の横顔、主要テーマの解説と行方、共同声明の予測、サミットの会場の場所や特色、雰囲気、各国記者団…

時価総額は最高だが…

東証の時価総額が5月下旬に591兆円に達し、バブル経済期のピーク(1989年12月)の590兆9000億円を上回った。金融不安の真っ盛りだった2003年3月には200兆円台に落ち込んでいたから、一見すると日本経済はこの10年余りで急成長したように見える。 しかしその…

〝天網行動〟の裏には?

天網恢々、疎にして漏らさず──ということなのだろうか。天網とは老子の言葉。天が張りめぐらした網は、どんな小さな悪事も逃げることはできないという意味だ。習近平政権は、いま腐敗共産党幹部を国外まで追跡する〝天網行動〟を展開し始めた。汚職摘発を逃…

車検と同時に〝家検〟制度を

家は一生の買い物──といわれる。数千万円、場合によっては1億円前後のおカネを払って住宅購入する日本人もいる。しかし、そんな高額の買い物をするのに、住宅に限って商品をあらかじめ点検することが少ない。 住宅メーカーの品質を信用しているからあえて自…

どちらにころぶ中国?

中国の周永康・元常務委員が4月に入って起訴された。収賄、職権乱用、国家機密漏えい罪などの疑いで、政治局常務委員(旧トップ9)が起訴されるのは建国以来初めてのことだ。周は国営石油会社の実質的トップ、公安大臣などの権力を握っていた人物だけに驚…

外国人が狙うビジネスホテル

ビジネスホテルが好調だという。事実、東京の稼働率(全客室のうち利用されている部屋の割合)は83.9%。大阪でも78%に達している(14年4〜6月)。リゾートホテルが48%、旅館が35%というからその好調さがわかる。 ビジネスホテル好調の背景にあるのは、…

東洋医学の谷先生を悼む

私が30年近く体調を見て頂いている東洋医学の先生がおられる。元々は長崎大学医学部を卒業(医学博士)、西洋医学を修めてきたが、母親の病気をきっかけに東洋医学に関心をもち、東洋医学の権威とされた間中喜雄博士に師事。以来東洋医学と西洋医学の両方の…

さよならグロナビ

BS放送開始以来、足かけ15年にわたって毎週土曜日午前に放映してきた「グローバルナビ フロント」が3月末(3月28日)で終了することになった。私が司会を行い、榊原英資元大蔵省財務官(通称ミスター円)がコメンテーターで、アシスタントは初代の中井亜希さ…

蒲田中小企業の戦後

ことしは日本の敗戦から70年目となる。そのせいか〝戦後70年特集〟が雑誌やテレビで大はやりだ。そんな中で戦争直後の大田区の中小企業とその後の歴史をまとめた資料が目を引いた。 中小企業の街といえば、東の大田区蒲田、西の東大阪が両横綱だろう。戦時中…

わかりにくい 農協改革論争

最近、わかりにくい政策論争が多い。そのひとつが農協改革だ。 自民党の農協改革検討チームが全国約700の地域農協を統括する全国農業協同組合中央会(JA全中、万歳章会長)に対し、JA全中の監査権を廃止すべしと要求している問題である。監査権とはJ…

東京五輪後の日本の進路 どんな国をめざすのか

1964年(昭和39年)の東京オリンピック当時、私は大学生だった。詳しい記憶はほとんどないのだが、先日、50年前の東京五輪当時の日本をふり返る映像特集を見た。当時の白黒映像を見ていると、日本はあの頃に高度成長への社会的・経済的基盤を整えたのだな、…

覚悟が見られない野党再生 世代交代を阻む比例復活

今回の総選挙で一番みっともなかったのは、小選挙区で敗北しながら、比例で復活した議員たちだろう。特に民主党の菅直人元首相は小選挙区で敗北、比例の惜敗率で最後の最後に助けられ投票日の翌日午前7時頃に救済された。比例復活の〝最後〟の人となったこ…

50議席減なら自公の敗北 30減なら引分け判定か

降って湧いたような突然の解散・総選挙である。なぜこの暮れの忙しい時に総選挙なのか──日がたつにつれて様々な謎の裏がみえてきた。 まず安倍首相がいつ総選挙を決断したのか。誰に最初に打ち明けたのか。安倍首相は北京で習近平国家主席が議長をつとめる第…

アベノミクスは正しいか 総選挙で野党は対案を

「いま消費増税を決めると不況になる懸念がある。不況になると増税しても税収はふえない。よって増税予定を延期するが、賛成ですか」と聞かれれば、大半の人は賛成、と答えるだろう。今度の衆院解散・総選挙の大義名分は「増税延期」だという。増税を喜ぶ人…

キャッチコピーから解く中国

中国はキャッチコピーの作り方がなかなかうまい。特に政権の交代期や重要大会があると、政策や外交方針などについて気の利いた造語や〝何だろう?〟と注目させる新しい言葉を作るのだ。 旧くは「改革開放路線」「文化大革命」、最近では「和諧社会」「新常態…

どこまで頑張る香港学生

香港の学生や一般市民も加わった数万人のデモの光景は圧巻だった。特に香港中心部の幹線道路を埋め尽くし、その先頭に高校生や大学生が立って演説する姿は、50〜60年代の日本の学生運動を思い起こさせ、個人的にも懐かしさを感じた。当時は、日本だけでなく…

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日本人の覚悟

日本人の覚悟―成熟経済を超える

(実業之日本社)
【著】嶌 信彦


日本の「世界商品」力

日本の『世界商品』力

(集英社新書)
【著】嶌 信彦

     
首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
【著】嶌 信彦


 
嶌信彦の一筆入魂

嶌信彦の一筆入魂

(財界研究所)
【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

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(講談社)
【著】嶌 信彦
       

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