時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

2013-01-01から1年間の記事一覧

サヨナラ、ヘレンさん 女性記者の先駆者だった

アメリカのホワイトハウス詰めの名物記者だったヘレン・トーマスさんが7月20日に亡くなった。ヘレンさんはアメリカにおける女性ジャーナリストの最長老で2010年6月に89歳で引退するまで、ホワイトハウス記者クラブの主のような存在だった。 ヘレンさんは1943…

歴史認識に踏み込もう

安倍外交は、一見すると華やかに見える。自ら東南アジア、EU、アフリカなどを訪れ、こもりがちだった日本のイメージを内外にアピールしているからだろう。安倍首相だけでなく麻生副総理、岸田外相ら閣僚らも手分けして各国をまわり国際機関の会議に参加し…

アラブ民主化政権はなぜ安定しない?

中東の大国・エジプトが再び動乱の兆しをみせてきた。選挙で選ばれた大統領を軍の介入によって軟禁し、軍が推すマンスール氏を暫定大統領に据えた。これは完全に軍事クーデターだ。 中東では、2010年のチュニジア・ジャスミン革命の反独裁民主化運動が引き金…

落ちぶれたサミット もう世界を引っ張れず

「落ちぶれたな」というのが、ことしのサミットを終えた時の実感だ。いまや1970年代~2000年頃までの世界を引っ張ってきた先進国首脳会議(G7)の面影は、まったくみられない。レーガン米大統領、ミッテラン仏大統領、シュミット、コール西独首相ら第二次世…

穏健イスラム・トルコの安定を望む

トルコが騒々しい。2020年夏のオリンピック最有力都市で、東京のライバルとみられているイスタンブールを中心としたデモの拡大に、日本の一部では「東京にチャンスが巡ってきたか」と早トチリする人もいるようだ。しかしもしトルコの混乱が深まるようだと、…

原発輸出に持つべき覚悟

先日、テレビでアメリカの原子力発電所に関する安全管理、危機対応の実態を放映していた。監視員、安全管理官らは発電所に常駐しており、その数はたしか2、3百人にのぼると説明していた。監視員たちは、どこでもいつでも発電所内の施設に立ち入ることが出来…

くすぶる沖縄〝独立〟論

最近、〝琉球独立論〟という小論やニュースをよく見かけるようになった。琉球とは、日本に編入される前の「沖縄」のことである。仕掛けているのは、尖閣諸島の領有権を主張する中国とみられるが、沖縄の人の中にも「琉球の独立」という言葉に心動かされる人…

大相場は終盤へ? 気になる海外でつぶやかれる円安批判

「リーマン・ショック」以前の利益水準に迫る──。3月期決算の発表で、このところメディアは連日にぎわっている。と同時に安倍首相・黒田日銀総裁の〝アベクロミックス〟をはやす声が多い。懸念もあるのだが、いまケチをつけると折角の株高・円安効果を冷やし…

足元危うい和食ブーム

先日、北海道で漁業関係者の全国大会に招かれ意外な事実を知って驚いた。 まず第一に日本人の魚介類を食べる量は年々減少傾向にあるというのだ。“日本人の魚好き”は、世界の常識と思っていたが、世界全体では魚を食べる人がふえているのに、いまや日本人だけ…

アベクロミックスと外人投資の行方

「満天の星は見ていてきれいだが、その星の点をつなぎあわせて牡羊座、牡牛座、天びん座などを見つけると、満天の星が〝点〟でなく、様々な図に見えるだろう。そのうえ、その星座の物語を知れば、星空は絵になりストーリーも知ることができて、さらに宇宙へ…

歴史認識とアメリカ

「安倍晋三首相はストロング・ナショナリスト(強硬な国家主義者)として知られる」――アメリカの議会調査局が5月にまとめた報告書で安倍政権に懸念を示した。先日訪米した時の安倍・オバマ大統領の会談は日本の民主党政権時代に比べるとずっと腹を割った話し…

サーベラスは魔獣か? 公益事業の買収可否

サーベラスが日本の企業社会に不気味な影を落としている。西武鉄道、プリンスホテルなどをもつ西武HD(後藤高志代表)の筆頭大株主で32.4%の株を所有するアメリカの投資ファンドだ。日本には98年に進出、あおぞら銀行や国際興業、米クライスラー、エア・カナ…

キプロス騒動にひそむ影は? 投機か、ロシアへの嫌がらせか

エーゲ海の美しい島・キプロスが世界の注目の的となっている。トルコとギリシャがかつて領有権を主張しあい、今も島はトルコ系とギリシャ系に分かれ境界線がもうけられている。〝エーゲ海に浮かぶ島〟と聞いただけで、何か豊かな気分になれるし、実際、世界…

一時の円安・株価に浮かれるな 日本の本物のDNAで勝負だ

他人の力を借りることは恥ではないし、時にはきわめて重要な立ち直りのきっかけになる。しかし、最終的には「自分の力で復活する」という覚悟と意志がなければ失敗しよう、3月に入り日本経済は好調で、回復に力強く進んでいるようにみえる。たしかに株価は一…

黄砂、PM2.5対策は?

最近、マスク姿の歩行者をよく見かける。花粉症対策かと思うと、「いや中国の黄砂やPM2.5も日本に飛来しているからね」という。これまでは中国の黄砂などの飛来地域は九州や中国地方の一部と思っていた。しかし最近は関西、関東まで飛んできている。 黄砂は…

新たなスター?〝ミスター日銀〟

派手ではなく地味な人物だが、決して安易に妥協したり、軸がぶれることのない人、というのが黒田東彦(68)・新日銀総裁の印象だ。大蔵省で国際金融のトップとなる財務官の座についていたのは1999年から2003年。それ以前は国際金融局長として97年のタイや韓…

中央銀行の気骨と政治家

昔の政治家は、たとえ自分より政治家として劣っていると思う人物が首相の座についても、必ず呼ぶ時は「総理」と呼んだものだ。昔から親しい時代の呼び方で「○○さん」などとは呼ばなかった。総理という座のもつ「権威」をおとしめてはならないという政治家と…

大学入試センター試験

1月下旬に恒例の大学入試センター試験が行なわれた。毎年この時期は普段より寒く雪の降るところも少なくない。だからセンター試験の日は、天気と受験生の記事や電車、列車の遅れ、試験問題とか試験管理のミスなどの報道が定番となっている。私はいつも〝われ…

ブータンからBLIへ

ブータンの”幸福”生活が注目されてから久しい。中国、インドに接する人口200万人強の国王を元首とする議会制の国だ。ヒマラヤ山脈の東端にあり北部は最高7千㍍級の高山帯、中部が3千~1500㍍の渓谷と盆地群、南部は亜熱帯性の森林地帯というから、およそ先進…

イスタンブールに勝てるか

近年、メキメキと頭角を現し注目を浴びているのがトルコである。黒海と地中海を二分する大半島のように位置する人口7千万人を超す大国だ。 ヨーロッパからアジアに向かう人はトルコに入ると「アジアに来た」と感じ、アジアから欧州に行く人は「ヨーロッパに…

興奮のなかった総選挙 安倍内閣への希望と課題

興奮がなく血も騒ぐことのない総選挙だった。投票率は59・32%で戦後最低。前回(2009年)より約10ポイント落ちた。 要するに自分の選挙区に選びたい人物、党がなく熱望する首相も見当たらなかったのだ。東京都知事選はもっとひどかった。対抗馬を出さなかっ…

ポピュリズムに決別をダメにしているのは政治

今度の総選挙ほど有権者をまどわせたケースはないのではないか。公示(12月4日)直前まで党の合流や連係でゴタゴタし、公約の修正もみられた。一体どの時点の政党名が最後まで残り、どの公約のどこが修正されたのかも告示後でないとわからない始末だった。…

野田首相の賭けと孤独

「16日に解散しましょう。よろしいでしょうか」──久々に野田首相が迫力のあるところをみせた。消費税増税法案が可決してから精気を吸い取られた感じだった野田首相は、特例公債法案など3条件が通らない限り解散はない、と解散については言明を避けていた。…

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日本人の覚悟

日本人の覚悟―成熟経済を超える

(実業之日本社)
【著】嶌 信彦


日本の「世界商品」力

日本の『世界商品』力

(集英社新書)
【著】嶌 信彦

     
首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
【著】嶌 信彦


 
嶌信彦の一筆入魂

嶌信彦の一筆入魂

(財界研究所)
【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

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(講談社)
【著】嶌 信彦
       

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